神奈川新聞社
直下地震を早期感知し被害軽減へ、三浦半島断層群に全国初の専用地震計設置/神奈川

 活断層が起こす直下地震を一秒でも早く捉え、強い揺れとなる震源周辺の被害軽減に役立てようとの研究が、三浦半島断層群(横須賀、三浦市など)で進んでいる。断層からの地震波を即座にキャッチする専用地震計を複数設置し、既に観測を始めている。地震の発生情報をどう発表するかは今後の課題だが、こうした試みは全国初という。
 三浦半島断層群は、国の地震調査研究推進本部が重点観測対象に位置付ける13断層の一つ。その中でも首都圏に位置し、近い将来に地震を起こす可能性が高いと分析されていることから、研究対象に選ばれた。
 2008年度から観測網の整備が始まり、断層に極めて近い4カ所(横須賀市佐原、長沢、荻野、三浦市初声町入江)に専用地震計を設置した。運用主体の防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が1年ほど前から観測を行っている。
 気象庁などとともに国内の地震観測を担う防災科研は、強い揺れを観測できる地震計を全国約1700カ所に張り巡らせているが、その間隔は平均約25キロと特定の活断層を警戒するには広い。これに対し三浦半島は、今回設置された4カ所を加えると約5キロ間隔と高密度になり、断層の動きを捉えやすくなった。
 さらに、専用地震計は地表と地中で地震を感知する仕組みで、人が感じない初期微動(P波)や続いて到達する激しい揺れ(S波)などを精度よく識別できる。
 キャッチした地震発生情報を一般に周知する方法は固まっていないが、震源周辺には間に合わないのが大きな課題となっている緊急地震速報への活用が一つのアイデア。「専用地震計を速報システムに接続すれば、速報をより早く提供できる」(文部科学省地震・防災研究課)と期待されている。また、同断層群の地震が起きた場合に周辺がどのような震度分布になるかをあらかじめ入力しておき、地震波の観測と同時に自動的に発信する手法も検討している。
 「将来的には、住民の危険回避やシステムの遮断などに活用したい。日々の観測を通じて、地下構造の解明にも役立てていきたい」と防災科研の中村洋光主任研究員。活断層マップを作成し、危険性を周知してきた横須賀市は「地震発生を瞬時に伝えられれば、人的被害の軽減につながるのではないか」と注目している。

 ◆三浦半島断層群 横須賀、三浦市や葉山町などに分布する複数の活断層。想定される地震の規模はマグニチュード(M)7前後。県の被害想定によると、冬の午後6時に発生した場合、県内で4350人が死亡、建物約25万棟が全壊する。県は2010年度からスタートさせた地震防災戦略で、耐震化の促進などを通じて死者を半減以上とする目標を掲げている。

地震調査研究推進本部
Wikipedia : 南関東直下地震