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南極探検家スコット初採取のコケムシ、気候変動理解の一助にも

 英国南極調査所(BAS)のデビッド・バーンズ氏率いる国際研究グループが22日明らかにしたところによると、英国の南極探検家ロバート・スコット(1868~1912年)が1901年に最初に採取した南極の小さな海洋生物が将来の気候変動を理解する上で助けになる可能性があるという。この内容は学術誌カレントバイオロジーに掲載された。
 この生物はコケムシとして知られ、海底に広がる小枝のような外観をしている。コケムシの1世紀にわたる記録は、南極海が近年、より多くの炭素を吸収するようになった可能性を暗示しているという。
 コケムシは1901年と11年にスコットによって南極太平洋側のロス海で採取され、それ以降1世紀間、他の探検家も採取しているが、1990年代以降、これまでになく急速に成長していることが分かった。この急速な成長はコケムシがより多くの炭素を吸収していることを意味し、大気中に人為的に排出された二酸化炭素(CO2)が海洋による吸収によって相殺されているか否かという科学的な謎の解明に少し寄与した形だ。
 BASは「南極の海洋生物による炭素吸収・蓄積が増えたことを示す初の決定的な証拠が見つかった」と指摘している。科学者らは、米国、英国、ニュージーランドの博物館にあるコケムシも精査し、ロス海における20世紀のコケムシ成長記録を収集した。
 バーンズ氏は近年のコケムシの成長について、餌の入手可能度が高くなったことと関連があるようだと指摘したが、研究ではその根本原因に関する結論には至らなかった。
 同氏は「われわれは何がこれを引き起こしたのかを明示していないが、温度の変化や酸性度の変化といった多くの要因を比較できるベースライン(基準)を得たことになる」と話し、今後の研究に期待する姿勢を示した。

British Antarctic Survey – Homepage
Press Release – Captain Scott’s century-old collections suggest marine life is capturing more carbon – British Antarctic Survey
Wikipedia : ロバート・スコット
Wikipedia : コケムシ