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北極海に流入する海流温度が上昇=米独の科学者

 ドイツや米国の科学者らはこのほど米科学誌サイエンスに、北極海に流れ込む北大西洋の海流の温度が少なくとも2000年前より高くなっており、夏季には北極圏で海氷が消える日がやってくる公算が大きいことの兆候だとの研究結果を報告した。
 独マインツの科学・人文・文学アカデミーのロベルト・シュピールハーゲン氏らによると、メキシコ湾流の終点であるデンマーク領グリーンランドとノルウェー領スバールバル諸島との間のフラム海峡における、最近の夏季の平均水温は6度だった。
 これに対して1890?2007年の平均は5.2度、それ以前の1900年間の水温は3.4度だった。過去の水温は同海峡の堆積物中にある小生物を使って調べられた。報告は、水温は太陽放射エネルギーの変動に関連した過去の高水温を上回っており、地球温暖化が人間活動によって進んでいることをうかがわせるものだ、と指摘した。研究に参加した米コロラド大学のトマス・マーチット氏は「近世のフラム海峡の水温は自然の範囲を逸脱している」と述べた。
 報告は、この水温上昇はおそらく地球温暖化の「極地増幅」に関連しているとし、将来夏季には北極海で氷が消滅する重要な要因の一つになるだろうと述べている。北極海の海氷は2007年に最小を記録。多くの専門家は数十年後には夏に氷がなくなり、先住民族のほかホッキョクグマなどの生物にとって脅威になると予想している。
 太陽光を反射する北極圏の氷や雪が減少すると海や土が露出して太陽熱を多く吸収、その分温暖化のペースが速くなる。これを極地増幅と呼ぶ。

Science