北國新聞
造営時の風格、今に 金沢・成巽閣

 加賀藩13代藩主前田斉泰(なりやす)が建てた金沢市の国重要文化財「成巽閣」で22日までに、柿(こけら)葺(ぶ)き屋根の葺き替え工事がほぼ完了した。27年ぶりとなった今回の改修では、屋根全面に40万枚の薄板を打ち付け、約150年前の造営時の風格を再現。真新しい木の肌がそのままの柿葺きは、庭園に積もる白い雪と鮮やかなコントラストをなし、観光客の目を引いている。
 改修は昨年夏から始まった。国や県、金沢市の補助を受け、総事業費約2億円をかけて屋根全面約1300平方メートルが葺き替えられた。
 成巽閣の屋根は創建当時から柿葺きで、木目の通った耐水性のあるサワラという木を薄い割板にし、少しずつ重ねて竹くぎで打ち付けて仕上げられた。明治に入ると桟瓦(さんがわら)や銅板に葺き替えられたが、前回の葺き替えの1984(昭和59)年から再び柿葺きに戻された。
 今回も史実通り柿葺きを採用し、出雲大社など国宝や重要文化財の屋根工事を手掛ける児島工務店(岡山県)が工事を担当。職人が幅約15センチ、長さ約30センチの「こけら板」を一枚一枚丁寧に合わせ、風情ある庭園に似合う優美な屋根に仕上げた。板の下に敷く腐食防止用の銅板が完全に隠れるよう工夫も施した。
 吉竹泰雄館長は「造営当時の屋根がよみがえった成巽閣をまた多くの人に見てほしい」と話した。

 成巽閣(せいそんかく)1863年、13代藩主斉泰が12代藩主の父・斉広(なりなが)の正室である真龍院(しんりゅういん)の隠居所として設けた。藩政期における前田家の生活空間を今に伝える唯一の建築物となっている。

成巽閣のホームページ
Wikipedia : 柿葺き
Wikipedia : 前田斉泰
Wikipedia : 鷹司隆子(眞龍院)